皆さまごきげんよう。半年分の穢れを祓いに行く、歴史好き看護師のジュリージョリーです。
ふと気づけば、もう6月の終わり。一年の、ちょうど折り返し地点ですね。
……みなさまの上半期は、いかがでしたか?
正直に告白すると、私がこの時期に神社へお参りしたのは、なんと2017年以来でした。日々の仕事や暮らしに追われているうちに、「季節の節目」というものを、すっかり見過ごして生きてきたのです。気づけば数年、立ち止まることもないまま——。
でも実は、6月の終わりには、その「半年分のたまった疲れや穢れ」を、まるごと祓ってくれる行事があるんです。それが——夏越の祓(なごしのはらえ)。
毎年6月30日ごろ、全国の神社で行われる、半年の区切りの神事です。境内に大きな「茅の輪(ちのわ)」がしつらえられ、そこをくぐることで、知らず知らずのうちにためこんだ穢れを落とし、後半の半年を清らかに迎える——。まさに、このブログの「整える」という軸そのものの行事でした。
「神社は好きだけれど、行事の作法はちょっと不安……」
「一人で参加しても、浮かないかな?」
そんな方も、どうぞ安心して読み進めてくださいね。今日は、私が湯島天神(湯島天満宮)でくぐってきた茅の輪の体験を入り口に、その歴史と、正しい作法まで、ぜんぶお話しします。
▼この記事でわかること
- 夏越の祓(茅の輪くぐり)ってそもそも何?──半年の区切りの意味
- なぜ「輪」をくぐるの?──茅の輪と蘇民将来の物語
- 茅の輪くぐりの正しい作法(8の字に3回・唱える和歌)
- 湯島天神での体験記──一人でも大丈夫だった話
- アクセス・楽しみ方・季節の和菓子「水無月」
夏越の祓ってなに?──半年に一度の“立て直し”の日
そもそも「夏越の祓」とは、いったい何の行事なのでしょう。
正式には「大祓(おおはらえ)」という神事のひとつです。実はこの大祓、一年に二回あります。ひとつは12月の終わりに行う「年越の祓」。そしてもうひとつが、6月の終わりに行う「夏越の祓」——いまの季節のものですね。ちょうど一年の折り返し、半年ごとの区切りに行われます。
昔の人は、私たちが日々を暮らすうちに、知らず知らず「罪」や「穢れ」をためこんでいくと考えました。といっても、これは「悪いことをした罪悪感」という重たい話ではありません。日々のなかでたまっていく、心と体のくもりやモヤモヤ——そんなイメージに近いものです。
それを半年に一度、いったんぜんぶ祓い清めて、また新しい気持ちで次の半年を迎えましょう。それが、大祓という行事のこころです。
ところで——年始に「今年はこうしよう」と決めた目標。半年も経つと、つい忘れていたり、いつのまにか甘くなっていたりしませんか? 私はちょうどこの時期に、もう一度それを見直す。評価する。修正する。そして、目標を“実現できる方向”へと立て直す。……そんなふうに、半年に一度はリセットしたい。そう思ってはいても、正直、うまくできない年もあるんですけどね(笑)。
半年分のたまったものを祓って、もう一度自分を整え直す。夏越の祓は、そんな“立て直し”のきっかけにぴったりの日なんです。
そう思うと、なんだか少し、行ってみたくなりませんか?
📜 ちょっと寄り道|なぜ「年に二回」なの?
ところで、大祓はなぜ6月と12月の年二回なのでしょう。ふつうは「一年の真ん中と終わりで区切るから」と説明されます。でも、ちょっとロマンのある説もあるんです。
実ははるかむかし、日本では春から夏までを一年、秋から冬までをもう一年と、半年を一年として数えていた——という見方があります(春秋二倍暦説)。古い天皇が百歳を超える長寿だったのも、これなら半分の年齢で計算が合う、というわけです。大祓が年に二回あるのも、その“半年で一区切り”の名残では、とも言われています。
もっとも、これはあくまで仮説。諸説あります。それでも、半年ごとに自分を整える——という今の私たちの感覚と、どこかで地続きなのかもしれませんね。(この話、面白すぎるのでいつかじっくり深掘り記事にします!)
なぜ「輪」をくぐるの?──スサノオと、蘇民将来の物語

そもそも、なぜ茅の輪をくぐると穢れが祓われるのでしょう。ここには、千年以上むかしから伝わる、ある神様の物語がありました。
『備後国風土記(びんごのくにふどき)』という古い書物に、こんなお話が残っています。
むかし、武塔神(むとうのかみ)という神様が、旅の途中で日が暮れ、一夜の宿を探していました。神様はまず、裕福な弟・巨旦将来(こたんしょうらい)の家を訪ねます。ところが、お金持ちの弟は、冷たく断ってしまう。一方、貧しい兄・蘇民将来(そみんしょうらい)は、乏しい暮らしのなかから精いっぱいのもてなしをして、こころよく神様を泊めてあげたのです。
それから数年後。ふたたび現れた神様は、蘇民にこう告げます。「茅(ち)で輪を作って、腰につけておきなさい」。言われたとおりにすると——その夜、まわりを疫病が襲い、人々はつぎつぎ命を落としていきました。けれど、茅の輪を身につけていた蘇民の家族だけは、無事だったのです。
そして神様は、ついに正体を明かします。「吾(われ)は速須佐雄能神(スサノオ)なり」——そう、古事記でおなじみ、あのスサノオでした。「この先、疫病がはやったら、“蘇民将来の子孫だ”と名乗り、茅の輪を身につけなさい。さすれば、災いを免れるだろう」。
ここで、ちょっと面白い発見があります。もともと茅の輪は、いまのようにくぐるものではなく、腰に巻いて身につける小さな輪だったんですね。それがやがて大きくなって、八の字にくぐる、今のかたちへと変わっていったのです。
人を思いやる心が、わが身を救う。スサノオが残したこの物語を知っていると、茅の輪をくぐる足どりも、きっと少しだけ変わってくるはずです。
このスサノオの物語も、もとをたどれば日本神話の世界。「神話、ちょっと面白いかも」と思った方には、竹田恒泰さんの『現代語古事記』が入り口にぴったりです。私自身、何度も開いている一冊です。
👉️わたしの愛読書ー『現代語古事記』(竹田恒泰)
いざ実践!茅の輪くぐりの作法
さあ、いよいよ茅の輪の前に立ちました。……でも、ここで「あれ、どっちから回るんだっけ?」と、つい固まってしまいますよね。
実は私も、その場でくぐり方の案内看板をじーーっくり読み込み、さらに先にくぐっている数人の動きをこっそり観察して、見よう見まねでやってみました(笑)。神社好きの私でも、これです。だから、作法を完璧に覚えていなくても、まったく心配いりません。
とはいえ、基本の流れをなんとなく頭に入れておくと、当日ぐっと落ち着けます。茅の輪は、左・右・左と、8の字(∞)を描くように3回くぐるのが基本の作法です。
- 茅の輪の前で、まず軽く一礼。
- 左足からくぐり、左まわりで正面に戻る。
- もう一度一礼して、今度は右足からくぐり、右まわりで正面に戻る。
- 三度目は一礼して、また左足からくぐり、左まわりで正面へ。
- 最後にもう一度くぐったら、そのままご神前へ進んでお参りします。
くぐるあいだは、こんな古い和歌を心のなかで唱えるのが習わしです。
水無月(みなづき)の 夏越(なごし)の祓(はらえ)する人は
千歳(ちとせ)の命(いのち)のぶというなり
「6月の夏越の祓をする人は、千年の寿命がのびるといいます」——なんとも縁起のいい言葉ですよね。
そしてもうひとつ、形代(かたしろ)という祓い方もあります。これは人の形に切った紙のお守りで、自分の名前を書き、体をなでたり息を吹きかけたりして、自分の穢れを移すんです。それを神社に納めると、あなたの代わりに祓い清めてくれる——なんともありがたい仕組みですね。
ひとつだけ、大切なこと。くぐる向きや唱え言葉、形代の有無は、神社によってさまざまです(諸説あります)。 多くの神社では、茅の輪のそばに案内の立て札が出ていますので、迷ったらそれに従えば大丈夫。作法そのものより、「半年、おつかれさま」と自分をねぎらう気持ちのほうが、ずっと大切ですからね。
一人でも大丈夫。湯島天神の茅の輪をくぐって
茅の輪くぐり自体は、実はずいぶん前から親しんできました。はじめてくぐったのは、もっと若い頃。どこの神社だったかは、もう覚えていないくらい昔のことです。その後も、できるだけ年に一度はくぐろう——そう思って続けていた時期もありました。
……けれど、気づけば数年、すっぽり足が遠のいてしまった年も。そして、最後にこの時期の神社へお参りしたのが、2017年の湯島天神(湯島天満宮)でした。
湯島天神は学問の神様として知られていますが、実はもう一柱、古事記にも登場する天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)もお祀りされている神社です。あとで調べて驚いたのですが、今の社殿は平成7年(1995年)の総檜(ひのき)造り。防火地域での木造建築としては“建設大臣認定第一号”という、特別なお社なんだそうです。知らずにお参りしていました。
境内には、私のほかにも、ぽつぽつと参拝の方が。なかには、小さな子どもの姿もありました。お母さんに教わりながら茅の輪をくぐる……かと思いきや、その子は輪のまわりを、元気いっぱいぐるぐると駆け回っていて(笑)。思わず、ほっこり。作法はめちゃくちゃだけれど、それはそれで、神様もきっと笑って許してくれそうですよね。
そんな景色をながめながら、私も輪の前へ。そっと、というより——心のなかで「お邪魔します!」。そんな気持ちで、八の字を、ひとつ、ふたつ、みっつ。半年分のいろんなことを思い返しながら、くぐらせていただきました。
——あんなに毎年くぐっていたのに、いつのまにか、季節の節目に立ち止まることを忘れていたんですね。だからこそ、今年こそ。もう一度、あの茅の輪をくぐりに行こうと思っています。たった数分、輪をくぐるだけ。それでもきっと、背すじがすっと伸びて、「よし、後半もやっていこう」と思えるはずだから。
そして——茅の輪くぐりは、湯島天神だけのものではありません。6月になると、全国の神社で行われています。 だからあなたも、わざわざ遠くまで行かなくて大丈夫。お近くの神社をのぞいてみてください。ふだんの参道に、青々とした大きな輪が、きっと待っているはずです。
一人でも気軽に。アクセスと、夏越の和菓子「水無月」
茅の輪くぐりのいいところは、特別な準備も、予約も、いらないこと。境内に輪が出ていれば、誰でも、もちろん一人でも、ふらりとくぐれます。しかも無料。「神社の行事は敷居が高そう」と感じている方にこそ、いちばんの“ひとり参拝”入門編だと思います。
私がお参りした湯島天神(湯島天満宮)は、東京メトロ千代田線「湯島駅」3番出口から徒歩2分。とてもアクセスしやすい神社です。
なお、湯島天神では、2026年は6月17日ごろから境内に茅の輪が設置されているようです。
ただ、何度も言いますが——お近くの神社で大丈夫。設置期間は神社によって異なり、当日前後だけのところもあれば、6月中旬から7月初旬までくぐれるところもあります。おでかけ前に、公式サイトやSNSで最新の日程をご確認ください。
そして、夏越の祓に欠かせないのが、和菓子の「水無月(みなづき)」。京都発祥で、6月30日に食べる習わしのお菓子です。三角形の形は“氷”をあらわしていて(昔は夏の氷が、とびきりのごちそうでした)、上にのった小豆には、魔除けの意味がこめられています。暑い後半を、どうか健やかに——そんな願いをいただく、季節の一品です。
👉️「夏越の祓え」におすすめー桃太郎製菓「水無月ういろう」
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まとめ
半年に一度、たまったものをいったん祓って、また新しい気持ちで歩きだす。夏越の祓は、そんな“立て直し”の日でした。
蘇民将来とスサノオの物語、八の字にくぐる作法、そして——あんなに続けていたのに、いつのまにか足が遠のいていた、私自身のこと。書きながら、「今年こそ、もう一度あの輪をくぐりに行こう」と、あらためて思いました。
年始に立てた目標を、半年地点で見直す。評価する。修正する。そして、実現できる方向へ立て直す。茅の輪は、その節目にそっと背中を押してくれる、昔からの知恵なのかもしれません。
あなたも今年は、お近くの神社で、青々とした輪をくぐってみませんか。半年分の自分を、やさしく整え直す時間になりますように。
整えることで、人生は変えられる。
それではみなさま、ごきげんよう。
